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院長日誌 鍼灸の理論: 2016年4月

なぜ、鍼灸で血行が良くなったり、痛みが楽になったりするのか?

鍼により血行がよくなったり、痛みが楽になる理由はしっかりあります。

鍼の鎮痛の仕組みや血行促進の説明の前に、肩こりや腰痛がどのようにして起こるのかについて説明します。

まず、痛みが生じると反射的に筋が固くなり、さらに交感神経の興奮によって筋肉内の血管が収縮し血流が低下します。

痛みからの筋肉の緊張と血流障害は、一種の悪循環を引き起こし症状を慢性化させます。

鍼の効果は、この悪循環を断ち切ることにあります。

痛みの悪循環
まず痛みが起きる原因の一つとして、痛みが出ている場所の血行不良があります。

血行が悪くなるとその部分の痛みを発する物質を取り除くことができないために痛み取れないことになります。

そのため、痛みの根本原因が血行不良である場合は、鍼を刺すことにより痛みを取り除くことができます。

血行不良による痛みの悪循環は、以下の通りです。


痛み→筋肉の緊張→血行不良→痛み→筋肉の緊張→血行不良→痛み→・・・・・・・・・以後、悪循環


これは、痛みが始まりのパターンですが、痛みではなく使いすぎてなどの筋肉の緊張がきっかけであったり、運動不足などによる血行不良がきっかけである場合もあります。

そこで、鍼(針、はり)を刺す事で硬くなった筋肉を緩めたり、血管を拡張させて血流を増加させることで悪循環を断ち切ります。



鍼をすると血行が良くなる


筋肉が緩む鍼(針、はり)の作用として、硬くなった筋肉にピンポイントで鍼(針、はり)が当たった時は、奥の方までずーんと響くような鈍痛があります。

これは、鍼(針、はり)の響きとか得気(とくき)と呼ばれるものです。

この得気が現れれば、そのポイントのコリや筋肉が硬くなった部分を緩めることができます。厳密に言えば、一旦収縮したあと、緩みます。

また、血行を良くする作用として針には軸索反射と呼ばれる血管を拡張させる効果があります。

軸索反射とは、鍼を刺す事でその周りの血管が拡張するという作用です。

血行をよくすることで、痛みを発しておる物質を取り除くことができ、痛みが楽になります。


軸索反射

人間の体の表面には、痛みを感知するセンサーがあります。これをポリモーダル受容器といいます。

このポリモーダル受容器は、体をぶつけたりした時などに痛みを感じるためのセンサーで、このセンサーから痛みの感覚が電気信号で脳に伝えられることにより痛いという感覚が生まれます。

もう一つこのポリモーダル受容器には、役割があります。それが、この軸索反射ということになります。

軸索反射は、ポリモーダル受容器が同じ神経で繋がっている他のセンサーにもこの感覚を伝えることにより、回復に必要な血液や栄養素を取り入れるために狭くなってしまった血管を広げる成分を放出します。

この時に伝わる場所が、神経の周りの軸索と呼ばれる部分を伝わるので、軸索反射と呼ばれます。

メカニズムは、以下の図のようになります。

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軸索反射により放出されたCGRP(カルシトニン遺伝子関連ペプチド)は、コリン作動性神経に働き、コリン作動神経の末端からアセチルコリンが報酬されます。

アセチルコリンは、血管を拡張させる作用があるので、皮膚や筋肉に針刺激を受けたときその周辺の血管は拡張するので、血流が促進されます。

これをフレアなどと言ったりもします。

運動器系疾患は、このようなメカニズムで鍼の効果がでることになります。



鍼による神経を介した鎮痛

「体表の特定部位に鍼を刺し、手技により機械的に刺激したり、通電したりすることにより電気刺激を反復して与えると、生体内の特定領域の痛覚閾値が上昇する現象」

はりきゅう理論(医道の日本社より)

わかりやすくすると、痛みを感じる境目があり、その境目が上昇するので痛みを感じにくくなるということになります。

鍼鎮痛のメカニズム.pngお薬などを使って痛みを和らげる場合は、痛みを感じる経路を遮断するのに対して、鍼で痛みを緩和する場合はもともと体に備わっている痛みを和らげる仕組みを活発にすることで痛みを和らげることになります。

体にもともと備わっている鎮痛の仕組みはいくつかありますが、そのひとつのゲートコントロール説について説明します。


ゲートコントロール説

ゲートコントロール説は、1965年にカナダの医学者メルザックとウォールが提唱した理論です。

人は、しらずしらずのうちに痛みがある場所を手で押さえたりなでたりします。

それは、痛みを紛らわすためにしているのであって、実際に痛みが落ち着くこともあります。

まさしく、それがゲートコントロール説です。


ゲートコントロール説.png

脊髄の中には痛みの門番である抑制介在ニューロンと、痛みの情報を脳に伝えるT細胞(伝達細胞)があります。

痛みが出て痛みを伝える神経(Aδもしくは、C繊維)が興奮すると抑制介在ニューロンという痛みの感覚を抑えている門番の力が抑えられて、門(ゲート)が開き、T細胞により痛みの情報が脳に伝えられます。

その時に、手で痛いところをさすることで、触覚、圧覚、などの感覚が痛みを伝える神経とは別の神経(Aβ繊維)により抑制介在ニューロンに感覚が伝わります。

脊髄(感覚の中枢)に存在する抑制介在ニューロン(門番)が触覚、圧覚を受け取り、痛みを抑える(鎮痛)のです。

まさしく、さすることでゲート(門)をコントロールしているわけです。

ゲートコントロールを鍼で起こすに鍼を刺した状態にしておいたり(置鍼)、鍼に通電するなどが有効です。

当院では、100Hzで鍼に通電する施術を行っています。



以上のメカニズムにより、鍼をすることで痛みを和らげて楽にすることができるのです。

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